動画編集でフィラー(「えー」「あの」「えっと」のような、意味を持たないつなぎの声)を消す時は、全部消すより、話の流れを止めている所だけ消す方が自然に仕上がります。消しすぎると、息つく間が無くなって早口に聞こえたり、つなぎ目で声や映像が跳んだりします。自動で消せる道具は増えましたが、消した後に通して聞き、不自然な所を戻す作業は残ります。
この記事では、フィラーとは何か、消す所と残す所、消しすぎると起きること、自動で消す時に人が確かめる所を書きます。書いているのは、株式会社ヒルウラ代表の高取です。ヒルウラは、人の編集チームで累計30,000本以上の動画を納品してきた会社で、カットと字幕まで入った初稿をAIで作る道具「AI動画編集くん」を作っています。
フィラーとは?言い直しや間とは何が違う?
話す動画で詰める所は、フィラー・言い直し・間の3つに分けられます。似ていますが、消し方が違います。
| 例 | 消し方 | |
|---|---|---|
| フィラー | 「えー」「えっと」「うーん」、意味の無い使い方の「あの」「その」「まあ」 | その声だけを消す。前後の言葉はそのまま |
| 言い直し | 「来月、あ、再来月から始めます」 | 言い切った方を残し、前の言い間違いを消す |
| 間 | 考えている時の沈黙、話の区切りの沈黙 | 長すぎる所だけ詰める。区切りの間は残す |
間(静かな所)の詰め方と、音で切る方法・言葉を見て切る方法の違いは、AIで無音カットと字幕を自動で作るにはに書いています。この記事では、フィラーをどこまで消すかに絞って書きます。
どのフィラーを消して、どれを残す?

フィラーに聞こえても、消してはいけない声があります。次の順に見て決めます。
1. 言葉として意味がある「あの」「その」「まあ」は残す
「あの資料を見てください」の「あの」は、物を指す言葉です。「その日は雨でした」の「その」、「まあまあの結果でした」の「まあ」も同じです。音だけ、文字だけで「あの」を全部消すと、文の意味が壊れます。前後の言葉とつながっているかで見分けます。
2. 話の流れを止めている所は消す
次のような所は、消すと聞きやすくなります。
- 話し始めの「えー」:1本の頭や、話題が変わる所の「えー、では」の「えー」。
- 続けて出る所:「あの、えっと、その」のように、2つ以上続く所。
- 同じ文の中で何度も出る所:1つの文に何度も入ると、聞く人が中身を追えなくなります。
3. 話す人らしさや、間として要る所は残す
全部消すと、話し方が硬く、読み上げているように聞こえることがあります。次のような所は残すことがあります。
- 考えながら話している所:「うーん、そうですね」で、考えて答えている感じが伝わる所。
- 対談の相づち:相手の話を受ける「ええ」「なるほど」。消すと、話が一方通行に聞こえます。
- 息つぎの代わり:長い説明の途中で、短い「えー」が区切りになっている所。消すなら、代わりに少し間を残します。
どこまで消すかは、動画の使い道で変わります。
| 動画 | 消す量の目安 |
|---|---|
| 商品やサービスの説明 | 多めに消す。短く、はっきり伝えたい |
| 社長や社員のインタビュー | ほどほど。話す人らしさを残す |
| 対談・座談会 | 少なめ。相づちとやり取りの間は残す |
| セミナーや講演の録画 | 続けて出る所と話し始めだけ。本筋は触らない |
(目安は高取の感覚です)
セミナーの録画で切る所と残す所は、セミナー動画を公開用に編集するにはにまとめています。
消しすぎると、何が起きる?
フィラーを消しすぎると、次のようなことが起きます。
| 起きること | なぜ起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 早口に聞こえる | フィラーと一緒に、息つぎの間まで消えた | 区切りの所に、少し間を戻す |
| 声が跳ぶ | 言葉の頭や弱い語尾まで一緒に切れた | 切る位置を、声の前後に少し余裕を持たせて直す |
| 言葉がくっつく | 消した前後で、声の高さや大きさが違う | 切る位置を前後にずらして聞き直す。それでも不自然なら、そのフィラーは残す |
| 意味が変わる | 指す言葉の「あの」「その」まで消した | 前後の文を聞き直して戻す |
| 映像が跳ぶ | 話す人の顔や手の位置が、つなぎ目で急に変わる | 下の「映像があると、どう困る?」を参照 |
消した後は、必ず通して聞きます。1か所ずつ聞くと問題なく聞こえても、通して聞くと詰まりすぎていることがあります。
映像があると、どう困る?
音だけの動画(ポッドキャストなど)では、気をつけるのは音のつなぎ目だけです。顔が映る動画では、それに加えて、消した所で顔の向きや手の位置が急に変わり、映像が跳んだように見えます。
跳んだように見える所は、次の手で目立たなくします。
- 少し寄った絵に切り替える:つなぎ目で画面を少し拡大すると、跳んだのではなく絵を変えたように見えます。
- 別のカメラに切り替える:2台で撮っていれば、つなぎ目で別の角度に切り替えます。
- 図や画面を重ねる:話の中身に合った図・資料・字幕の強調を重ねて、つなぎ目を隠します。
細かく何か所も消すほど、こうした手当てが増えます。顔が映る動画ほど、消す量は控えめにする方が、仕上がりが自然です(高取の感覚です)。
自動で消す時に、人が確かめる所は?
フィラーを自動で消す道具は、話した言葉を文字にするか、音の形から「えー」「あの」を探して消します。手で1つずつ消すより速い一方、次の所は人が確かめます。
- 意味のある「あの」「その」が消えていないか:文字だけで探すと、指す言葉まで消すことがあります。
- 消しすぎて詰まっていないか:通して聞き、早口に聞こえる所は間を戻します。
- 言葉の頭や語尾が欠けていないか:特に、つなぎ目の直後の言葉。
- 人名・社名・専門用語が、フィラーと聞き違えられていないか:短い名前や言葉が、フィラーとして消されることがあります。
道具を選ぶ時は、消す強さを変えられるか、消した所を後から戻しやすいかを確かめます。自社でよく撮る動画を1本使い、通して聞いて試すのが確かです。
AI動画編集くんでは、どう消している?
AI動画編集くんは、話した言葉を文字にしてから、AIが話の意味を見て残す言葉を選びます。何秒から何秒までを残すかは、AIが推測せず、プログラムが音を測って決めます。声の出だしと終わりには少し余裕を残して切るので、消した所の直後の言葉が欠けにくくなります。
動画のファイルに書き出した後は、切れ目を聞き直して、声が途中で切れていないかを確かめます。判断が付かない所は、人に見てほしい所として、初稿(最初の編集版)と一緒に渡します。言い直しは、文字だけでなく音の形でも確かめてから切ります。くわしくは動画編集の初稿をAIで自動化するにはに書いています。
よくある質問
フィラーは全部消した方がいいですか?
全部消すのはおすすめしません。息つぎの間まで消えて早口に聞こえたり、話し方が硬くなったりします。話し始めの「えー」と、続けて出る所から消し、通して聞いて足りなければ増やす、の順が安全です。
字幕には、フィラーも書いた方がいいですか?
商品の説明や解説の動画なら、字幕からは外す方が読みやすくなります。声に残したフィラーまで字幕に書くと、1枚の字幕が長くなり、中身が読みにくくなります。対談で話し方の感じを伝えたい時は、残すこともあります。
撮る時に、フィラーを減らす方法はありますか?
話す順番を箇条書きにしたメモを手元に置くと、次に何を話すか迷う所が減り、フィラーも減りやすくなります。言い間違えた時は、少し前の区切りから言い直してもらうと、編集で切りやすくなります。撮影の日の準備は、YouTubeの撮影から編集まで代行を頼むにはにも書いています。
編集を外に頼む時、フィラーをどこまで消すかは伝えた方がいいですか?
伝えた方が確かです。「話し始めと続けて出る所だけ」「相づちは残す」のように、消す所と残す所を一言で伝えると、初稿からの直しが減ります。直しを頼む時は、「2:10の『あの』を消して」のように、時刻と一緒に書きます。
試すには
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