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社内研修の動画と著作権|社内だけで見る動画でも、他人の資料・音楽を使う前に確かめること

社内研修の動画でも、本や記事、他社の資料、音楽、ネットの動画など、他人が作った物を使う時は、使ってよいかを使う前に確かめます。文化庁の資料では、自分や家庭の中で使うための複製(私的使用)は「仕事での利用」には当たらないとされています。学校の授業で使うための例外も、企業の研修施設は当たらない例に挙げられています。なので「社内だけで見るから大丈夫」とは言えません。使う時は、権利を持つ人から許しを得るか、引用の条件に合う形で使うか、自社で作った物や使ってよいと確かめた物に差し替えます。

この記事では、社内だけで見る動画でも著作権が関わる理由、使う前に確かめる順番、引用として使う時の条件、研修の動画でよく出てくる物ごとの確かめ所を書きます。書いているのは、株式会社ヒルウラ代表の高取です。ヒルウラは、人の編集チームで累計30,000本以上の動画を納品してきた会社で、研修や業務の手順の動画も請け負っています。法律の判断を言い切る記事ではありません。書いているのは、2026年10月に文化庁の公開している資料を開いて確かめた所だけです。迷う時は、弁護士などの専門家に相談してください。

社内だけで見る動画でも、著作権は関わる?

関わります。他人の著作物を、許しを得ずに使える場合は、著作権法に決まりがあります(権利制限規定と呼ばれます)。研修の動画で「当たるのでは」と思われやすい2つは、文化庁の資料で次のように書かれています。

例外 文化庁の資料に書かれていること 社内研修の動画では
私的使用のための複製 個人的に、または家庭内など限られた範囲で使うためのもの。「仕事での利用は×」 会社の研修は仕事での利用なので、当たらないと考えられる
学校の授業で使うための複製など 営利を目的として設置されているものを除く、学校その他の教育機関が対象。「企業や団体等の研修施設」は該当しない例に挙がっている 企業の研修施設は、当たらない例として挙がっている

※私的使用は、文化庁著作権課「令和6年度 著作権事務担当者講習会 著作権制度の概要について」27ページ。学校の授業は、著作物の教育利用に関する関係者フォーラム「改正著作権法第35条運用指針(令和2(2020)年度版)」5ページ。

社外の人が見ないことは、使ってよい理由になりません。見る人が社内だけでも、他人の物を使う時は、次の順番で確かめます。

使う前に、どの順で確かめる?

研修の動画で他人の物を使う前に確かめる5つの順番の図。1 著作物に当たるか、2 保護の対象か、3 保護期間が切れているか、4 許しなく使える例外に当たるか、5 権利を持つ人が分かるか。どこかで「使える」と分かればそこで終わり、5まで来たら権利を持つ人から許しを得る

文化庁の講習資料(33ページ)では、他人の著作物を使いたい時に考える順番が、次のように書かれています。

順 確かめること 答えによって
1 著作物に当たるか 単なる事実やデータなどは著作物ではない
2 保護の対象となる著作物か 法令や裁判所の判決などは保護の対象ではない
3 保護期間が切れているか 切れていれば、許しなく使える
4 許しなく使える例外(権利制限規定)に当たるか 当たれば、許しなく使える。上の「私的使用」と「学校の授業」の2つは、研修では当たらない
5 権利を持つ人が分かるか 分かれば、使い方を決めて許しを得る(書面に残す)

研修の動画で使いたい物の多くは、1〜3では「使える」となりません。本の文章、他社の資料、写真、音楽、ほかの人が作った動画は、ふつうは著作物で、保護の対象です。保護期間の長さはこの記事では扱っていないので、古い物を使う時は、別に確かめてください。なので実際には、4の例外のうち「引用」に当たるかを見るか、5の権利を持つ人から許しを得るかになります。

許しを得る時は、何を伝える?

文化庁の講習資料(32ページ)では、他人の著作物を使う立場で気をつけることとして、使い方の決まり(利用規約や利用規定など)を確かめること、使い方に応じた許しを得ること、どう使いたいかをはっきり伝えること、契約書に書くことが挙げられています。研修の動画なら、次のことを伝えます。

  • 何に使うか:社内研修の動画の中で使うこと。
  • 誰が見るか:社員だけか、取引先や協力会社の人も見るか。
  • どこに置くか:社内の共有の場所か、研修用の仕組みか。社外から見られない設定か。
  • いつまで使うか:研修の動画は、何年も使い続けることがあります。

引用として使う時の条件は?

本や記事の一部を、研修の中で紹介したい時は、引用として使えるかを見ます。文化庁の講習資料(28ページ)では、引用の条件が次のように書かれています。

条件 中身
1. 公表された著作物であること まだ公表されていない物は当たらない
2. 公正な慣行に合っていること 引用する必然性があること。引用する所が、はっきり分けられていること
3. 引用の目的上、正当な範囲内であること 自分の物と他人の物の間に、妥当な主と従の関係があること。引用する量が、必要な最小限であること
4. 出所を明示すること 何から引用したかを示す

研修の動画にあてはめると、他人の文章や図が中心になって、自社の説明が添え物になっている使い方は、条件に合いにくくなります。引用する所は、字幕や枠で自社の説明と分け、出所を画面に出します。

講習資料には、近年の判例では、これらの基準によらず、引用する目的や方法、権利を持つ人に与える影響などを総合的に考えて判断しているものもあると書かれています。4つの条件に合うように使っても、必ず引用と認められるとは限りません。引用に当たるか迷う時は、専門家に確かめるか、使わずに自社の言葉で説明し直します。

研修の動画でよく出てくる物は、どう確かめる?

研修の動画を作る時によく出てくる物と、確かめる所を表にしました。

使いたい物 確かめる所
本・記事の文章や図 引用の条件に合うか。合わなければ、出している会社や書いた人の許しを得る
他社の資料・スライド 誰が権利を持つか。もらった資料でも、動画に入れてよいとは限らない
音楽(BGM) 使い方の決まりで、研修の動画や社内での利用が許されているか
ネットの写真・イラスト 使い方の決まりで、会社での利用が許されているか。決まりが見つからない物は、権利を持つ人に確かめるか、使わずに済ませる
ネットの動画 動画の一部を研修の動画に入れてよいか、公開している人の決まりを確かめる
社外の講師が話した内容 録画してよいか、どこまで、いつまで使ってよいかを、講師と先に決める

無料で配られている音楽や写真でも、使い方の決まりは物ごとに違います。会社での利用は別の決まりになっている物もあります。使う時は、その決まりを読んで、どこで確かめたかを残しておくと、あとで決まりが変わっていないかを見直す時に役立ちます。

社外の講師に話してもらった時の扱いは、セミナー動画を公開用に編集するにはの「話した人やスライドの中身は、公開してよい?」にも書いています。社内の動画の決まりに、使ってよい音楽や写真の置き場を書いておく方法は、会社の動画のガイドラインの作り方に書いています。

ヒルウラでは、どう扱っている?

ヒルウラが動画の編集を請け負う時は、使ってよいことと、使い方の条件を確かめられる素材だけを使います。お客様からお預かりするロゴや画像、音源、他社の資料も、使う範囲を先にご確認いただいています。ネットに載っているという理由だけで、使ってよい物として扱うことはありません。

音楽や写真、出てくる人などの権利によって、使ってよい範囲は変わります。研修の動画を、あとで社外向けや広告にも使う予定がある時は、最初にお知らせいただくようお願いしています。

研修の動画をどう作るか、社内だけで見る動画で何を決めておくかは、社内研修の動画の作り方に、手順を動画にする時の撮り方は、マニュアル動画の作り方に書いています。

よくある質問

社員だけが見る動画でも、許しは要りますか?

文化庁の資料では、仕事での利用は私的使用に当たらないとされ、企業の研修施設は学校の授業で使うための例外に当たらない例に挙げられています。なので、社員だけが見ることを理由に、許しが要らないとは言えません。引用の条件に合う形で使うか、権利を持つ人から許しを得るか、使ってよいと確かめた物に差し替えます。

自分で買った本なら、研修の動画に使えますか?

本を買ったことと、その中身を動画に入れて社内で見せることは別です。中身の一部を紹介するなら、引用の条件に合うかを見ます。条件に合わない使い方なら、出している会社や書いた人の許しを得ます。

研修の動画のBGMは、どう選べばいいですか?

使い方の決まりで、会社の研修の動画に使ってよいと書かれている音楽を選びます。BGMを入れない、という選び方もあります。研修の動画は、話の中身が聞き取れることが一番大事です。

前に作った研修の動画に、確かめていない物が入っていたら?

見つけた所から、確かめるか差し替えます。権利を持つ人が分かれば、許しを得られるかを聞きます。分からない時や許しが得られない時は、その場面を切るか、自社で作った物に差し替えます。どうするか迷う時は、専門家に相談してください。

動画の編集を頼む時、素材の権利の確認もしてもらえますか?

ヒルウラでは、お預かりする素材について、使う範囲をお客様にご確認いただいています。編集する側では、その素材を使ってよいかを決められないためです。

相談するには

研修の動画の編集は、ヒルウラの編集チームが1本から請け負っています。料金表をご覧のうえ、フォームからご相談ください。使いたい素材がある時は、その素材と使い方もお知らせください。

研修の動画を社内で作り続けたい会社に向けて、撮った動画から字幕や効果音まで入った初稿をAIで作る道具「AI動画編集くん」も作っています。道具と、社内で動画を作れるようにする支援は、近日提供の予定です。公式LINEで先行してご案内します。

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