社内で1人目の動画担当を育てる時は、「決まりを渡す」「小さく任せる」「直しを返す」「範囲を広げる」の順で進めます。最初から長い動画を1人で任せると、何が良くて何が足りないのかが本人にも周りにも分からず、止まりやすくなります。短い動画から始め、直しを決まった形で返し、できた所から任せる範囲を広げていきます。
この記事では、教える順番、直しの返し方、任せる範囲を広げる目安を書きます。書いているのは、株式会社ヒルウラ代表の高取です。ヒルウラは、人の編集チームで累計30,000本以上の動画を納品してきた会社で、編集者を迎え、マニュアルと研修、制作の中での直しを通して育てる仕組みを社内で作ってきました。ここに書く順番は、その仕組みを社内の担当者向けに置き換えたものです。
1人目の動画担当で、何につまずく?
1人目の担当者がつまずくのは、編集の操作より、「何ができていれば良いのか」が決まっていないことです。社内に動画が分かる人がいないと、出来を見る基準が人によって変わります。担当者は、直されるたびに言われることが違うと感じ、何を覚えればよいか分からなくなります。
もう1つは、最初に任せる物が大きすぎることです。10分を超える動画を1本まるごと任せると、つまずいた所がどこなのかを切り分けにくくなります。
社内で動画を続けられない原因の全体(1人に任せきる、確かめる人がいない、など)は、動画の内製化が失敗する5つの原因にまとめています。この記事では、担当者本人を育てる順番に絞ります。
1人目の動画担当は、どの順で育てる?

1. 決まりを渡す
最初に渡すのは、編集ソフトの使い方より、「会社の動画はこうする」という決まりです。最初は紙1枚に収まる量で構いません。足りない所は、直しを返しながら足していきます。
| 決まりの項目 | 書くこと |
|---|---|
| 字幕 | 文字の大きさ・色、1行の長さ、人名や社名の書き方 |
| 音 | 声の大きさの目安、BGMは声より小さく |
| 見た目 | ロゴを出す位置、最初と最後に入れる画面 |
| 出さない物 | お客様の名前、社内の資料、了解を取っていない人の顔 |
| 確かめる人 | 出す前に誰が見て、誰が決めるか |
ヒルウラでも、編集者には最初に編集マニュアルを渡し、カット・字幕・音声などの基準を先に学んでもらっています。基準が先にあると、直しを返す時に「決まりのこの項目」と指させるので、言われることがぶれにくくなります。社内の作業の手順を動画にして残す方法は、マニュアル動画の作り方に書いています。決まりそのものの作り方とひな形は、会社の動画のガイドラインの作り方にまとめています。
2. 小さく任せる
最初の1本は、1分前後の短い動画や、すでにある長い動画の一部を切り出す仕事にします。短い物なら、作る・見る・直すを短い間隔で回せるからです。
ヒルウラでは、編集者に仕事を任せる前に、実際に1本編集してもらう課題テストで、基準に届くかを確かめています。社内の担当者を試験する必要はありませんが、最初の数本は「本番に出す前の練習」と決めておくと、担当者も見る側も気が楽になります。
3. 直しを返す
直しは、口で言うより、書いて返します。書く時は「何分何秒の、何を、どう直すか」の3つをそろえます。
| 返し方 | 例 |
|---|---|
| 伝わりにくい | 「字幕が見づらい」 |
| 伝わる | 「0:42の字幕を、2行から1行にして文字を大きく」 |
| 伝わりにくい | 「テンポが悪い」 |
| 伝わる | 「1:10〜1:25の言い直しを切って、次の話へつなぐ」 |
直しの書き方は、外の編集者に頼む時と同じです。くわしくは動画編集を社内で効率化するにはの「直しのやり取りを短くするには?」に書いています。
4. 範囲を広げる
同じ種類の直しが数本続けて出なくなった所から、任せる範囲を広げます。たとえば、短い動画で字幕の直しが出なくなったら、次は3分前後、その次は10分前後、と少しずつ長くしていきます。
ヒルウラの編集チームでも、まず編集を任せ、できることが増えたら、進行と品質を見る役(ディレクター)や企画へと仕事の幅を広げていく形をとっています。社内の担当者も、編集だけで終わらせず、どの動画を作るかを一緒に考える所まで広げると、担当者が続けやすくなると考えています(高取の感覚です)。
同じ直しが続く時は、どうする?
同じ直しを2回したら、それを決まりの紙に1行足します。直しは、その1本だけの指摘で終わらせず、次から起きないようにするための材料です。
決まりが増えていくと、担当者が替わった時にも、その紙を渡せば同じ形で動画を作れます。1人目の担当者を育てることは、2人目を迎える準備にもなります。
| 続いた直し | 決まりに足す1行 |
|---|---|
| 人名の字の間違い | 人名と社名は、出す前に名簿と照らし合わせる |
| BGMが大きい | BGMは、声と重なる所では声より小さくする |
| 字幕の改行が変 | 字幕は、言葉の切れ目で改行する |
編集の時間を減らすには、何を任せる?
担当者を育てる間は、作る時間が長くかかります。間を切る、字幕を入れる、といった毎回同じ作業は、道具に任せる方法もあります。
ヒルウラでは、撮った動画から字幕や効果音まで入った初稿をAIで作る道具「AI動画編集くん」を作り、社内で試しています(お客様の仕事にはまだ使っていません)。初稿をAIが作り、担当者は見て直す所を書く、という分け方にすると、担当者が覚えることを「見る目」と「決まり」に寄せられます。社内に入れる時の担当の分け方は、AI動画編集を社内に導入するにはに書いています。
よくある質問
編集の経験が無い社員でも、担当になれますか?
なれます。ヒルウラが編集者を迎える時も、未経験の方は課題テストで基準を確かめてから担当してもらっています。社内でも、決まりを先に渡し、短い動画から始めれば、経験が無くても始められます。
担当者には、何から教えればいいですか?
編集ソフトの操作より先に、会社の動画の決まり(字幕・音・見た目・出さない物)を教えます。操作は、決まりを守るための手段として、短い動画を作りながら覚えてもらう方が早いです。
直しを返すのは、誰がやればいいですか?
作る人とは別に、出す前に見る人を1人決めます。動画に詳しくなくても始められます。決まりの紙と照らし合わせて、「何分何秒の、何を、どう直すか」を書くことから始めます。
担当者が辞めたら、また1からですか?
決まりの紙と、直した記録が残っていれば、1からにはなりにくくなります。ただ、紙に書けていない判断もあるので、引き継ぎの間に前の担当者と一緒に1本作ると、抜けが見つかります。
相談するには
社内で動画を回せる体制を作りたい、担当者の育て方を相談したい、といったご相談は、フォームからお送りください。動画の編集そのものを頼む場合は、料金表をご覧ください。
社内で動画を作れるようにする支援とAI動画編集くんは、近日提供の予定です。案内は公式LINEで先行してお送りします。