動画の内製化が失敗する原因で多いのは、「1人に任せきる」「見て直す人がいない」「目的と本数を決めない」「本業と取り合いになる」「やり方を残さない」の5つです。どれも、編集の腕より先に、社内の仕組みが無いことで起きます。
この記事では、5つの原因と、つまずかないための進め方を書きます。書いているのは、株式会社ヒルウラ代表の高取です。ヒルウラは、人の編集チームで累計30,000本以上の動画を納品してきた会社で、編集者を迎えて育てる仕組みを社内で作ってきました。その中で見えたことをもとにしています。
動画の内製化は、なぜ失敗する?
多くは、編集できる人を1人置けば回る、と考えて始めることから起きます。動画を続けて出すには、作る人のほかに、見て直す人・決める人・やり方を残す仕組みが要ります。

| 原因 | 起きること | 対策 |
|---|---|---|
| 1人に任せきる | その人が休む・辞めると止まる | 2人目を育て、手順を書き残す |
| 見て直す人がいない | 品質がそろわない | 確かめる人を1人決める |
| 目的と本数を決めない | 何を作るかで毎回迷う | 最初に目的と月の本数を決める |
| 本業と取り合いになる | 忙しい時期に後回しになる | 動画の時間を先に取っておく |
| やり方を残さない | 人が変わると一からやり直し | 決まりと直した記録を残す |
原因1:1人に任せきる
いちばん多いのは、動画が得意な社員1人に任せきることです。その人がいるうちは回りますが、休む・異動する・辞めると、編集が止まります。
ヒルウラでは、編集のルールと直した記録をチームで共有し、1人だけに頼らない体制にしています。社内で作る時も、同じ考え方が要ります。
- 最初から2人で担当する(1人は見習いでもよい)
- 編集の手順を、画面の写真付きで書き残す
- 使っている素材(字幕の型・音・ロゴ)を、決まった場所に置く
原因2:見て直す人がいない
作った動画を確かめる人がいないと、仕上がりが担当者の腕と気分で揺れます。誤字や音量のばらつきも、そのまま出てしまいます。
ヒルウラでは、編集者が作った物をディレクター(進行と品質を見る人)が確かめ、直す所を伝えてから納めています。社内で作る時も、作る人とは別に、確かめる人を1人決めておくと品質がそろいます。
確かめる人が見るのは、たとえば次の所です。
- 誤字・人名や社名の字
- 字幕の読みやすさ(速すぎないか、区切りが変ではないか)
- カットのつながり(話の途中で切れていないか)
- 音量(声が小さすぎないか、BGMがうるさくないか)
- 会社として出してよい表現か
これは、ヒルウラが編集者を迎える前の課題テスト(実際に1本編集してもらい、基準に届くかを見るテスト)で確かめている所とほぼ同じです。派手な演出の量よりも、見る人が中身に集中できるかを見ます。
原因3:目的と本数を決めない
「とりあえず動画を出そう」で始めると、何を作るかで毎回迷い、作る理由が弱いまま止まりがちです。
始める前に、次の3つだけは決めておきます。
- 何のための動画か:問い合わせを増やす、採用の応募を増やす、社内の説明を減らす、など
- 月に何本出すか:無理のない本数から始める
- 誰が決めるか:何を出すか・出してよいかを決める人を1人にする
決める人が何人もいると、意見が分かれて直しが行ったり来たりします。
原因4:本業と取り合いになる
動画を兼務で作ると、本業が忙しい時期に、まず後回しになります。1本遅れると、次の1本も遅れ、そのまま止まってしまいます。
- 動画を作る時間を、週の予定に先に入れておく
- 撮影はまとめて行い、編集の作業を平らにする
- 遅れそうな時は、早めに伝えて本数を調整する
ヒルウラでも、遅れの見込みがあれば担当ディレクターへ早めに共有してもらい、チームで進め方を調整しています。早く言えば、まだ打てる手があります。
原因5:やり方を残さない
うまくいった字幕の型や、よく直される所を残しておかないと、人が変わるたびに一からやり直しになります。
ヒルウラでは、編集者に編集のマニュアル・研修・作った物へのフィードバックを用意しています。社内で作る時も、量は少なくてよいので、次の物を残しておくと続けやすくなります。
| 残す物 | 中身の例 |
|---|---|
| 編集の決まり | 字幕の大きさと色、ロゴを出す位置、BGMの音量 |
| よく直される所 | 社名の字、言ってはいけない表現 |
| 直した記録 | どの動画のどこを、なぜ直したか |
| 素材の置き場 | 字幕の型・効果音・曲・ロゴの場所 |
つまずかない進め方は?
いきなり全部を社内で作ろうとせず、段を分けて移すのがおすすめです。
- 目的・本数・決める人を決める:原因3の3つです。
- 最初は外の手も借りる:外注で数本作り、出来上がった動画のどこを直すべきかを見分ける力を、社内で育てます。
- 作る人と確かめる人を分ける:2人以上で始め、手順を書き残します。
- 初稿づくりを軽くする:最初の下書きの動画(初稿)を作る作業は手間が大きいので、AIに任せる手もあります。
- 決まりと直した記録を残す:次の人がすぐ同じ質で作れるようにします。
外注と社内で作る場合の違いは、動画編集は外注と内製どっちがいい?で比べています。AIで初稿を作って社内で直すやり方は、AI動画編集を社内に導入するにはにまとめています。1人目の担当者に何から教え、どう直しを返すかは、社内の動画担当を1人目から育てるにはに書いています。
よくある質問
編集の経験が無い社員でも、内製化できますか?
できます。ただし、最初は確かめる人と手順書が要ります。ヒルウラでも、未経験の方は課題テストで基準を満たしてから担当してもらっています。いきなり1人で全部を任せないことが大切です。
内製化を始めて、どのくらいで回るようになりますか?
本数・人の経験・確かめる人がいるかで大きく変わるため、決まった日数は言えません。最初は少ない本数で始め、手順書と直した記録がたまってから本数を増やすと、止まりにくくなります。
一度失敗した内製化を、やり直すには?
止まった原因が5つのどれかを先に確かめます。多くは「1人に任せきった」か「確かめる人がいなかった」です。そこを直さずに人だけ替えても、同じ所で止まります。
相談するには
社内で動画を作れるようにする支援は、近日提供します。公式LINEで先行してご案内します。初稿をAIで作る道具は、AI動画編集くんとして近日提供します。