少人数の会社がAIで仕事を効率化する時は、まず決める人が自分の仕事で1つ試し、次に任せる仕事を1つに絞り、入れてはいけない情報と確かめる人を短い決まりにしてから、もう1人に渡す、の順で進めます。最初から全員に道具を配ったり、高い道具を先に選んだりすると、使い方が人ごとにばらつき、使われなくなりやすいと考えています(高取の感覚です)。1つの仕事で「使える」と分かってから広げる方が、少人数の会社には向いています。
この記事では、少人数の会社でAIを入れる順番、最初に選ぶ仕事の例、つまずきやすい所を書きます。書いているのは、株式会社ヒルウラ代表の高取です。ヒルウラは、人の編集チームで累計30,000本以上の動画を納品してきた会社で、動画の編集で一番時間のかかる初稿づくり(間を切る・字幕を入れる・効果音を合わせて、最初の編集版を作る作業)にAIを入れ、社内で試してきました。
少人数の会社で、AIの導入は何が違う?
少人数の会社には、AIを入れる専門の部署や、エンジニアがいないことが多いです。その代わり、決める人と使う人の距離が近く、決めたことをすぐ試せます。
| 少人数の会社 | 気をつけること | |
|---|---|---|
| 決める人 | 社長や役員が、自分で決められる | 決める人が触っていないと、何に使えるか分からないまま決めてしまう |
| 担当 | AIの担当がいない。ほかの仕事と兼ねる | 試す時間が取れず、止まりやすい |
| 決まり | 社内の決まりがまだ無いことが多い | 何を入れてよいか分からず、使う人が迷う |
| 広げ方 | 社員が少ないので、1人に伝わると、社内の多くに伝わる | 最初の1人のやり方が、そのまま会社のやり方になる |
少人数の会社では、最初にAIを使う1人を、決める人にするのがよいと考えています(高取の感覚です)。決める人が自分で使ってみると、どの仕事に向くか、どこが心配かを、自分の言葉で社内に伝えられます。
少人数の会社は、どの順でAIを入れる?

1. 決める人が試す
最初は、社長や決める人が、自分の仕事で1つだけAIを使ってみます。メールの下書き、打ち合わせのメモの整理など、自分で出来を確かめられる物から始めます。
ここでのねらいは、効果を出すことより、「AIに頼むと、どんな物が出てくるか」「どこを直す必要があるか」を自分で知ることです。
2. 仕事を1つ選ぶ
次に、会社としてAIに任せる仕事を1つだけ選びます。選ぶ時は、毎回同じ手順か、時間がかかっているか、できた物を人が確かめやすいか、の3つで見ます。この3つの基準は、生成AIで業務を効率化する事例の「AIに任せる仕事は、どう選んだ?」に、ヒルウラが実際に選んだ時の表と一緒に書いています。
ヒルウラでは、動画の編集の中で一番時間がかかっていた初稿づくり(間を切る・字幕を入れる・効果音を合わせる)を選びました。
3. 決まりを書く
使う人を増やす前に、短い決まりを書きます。最初は紙1枚に収まる量から始めます。お客様の情報や契約に関わる使い方をする時は、使う道具の説明で、入れた情報の扱い(AIの学習に使われるかなど)を確かめてから決めます。
| 決まりの項目 | 書くこと |
|---|---|
| 入れない情報 | お客様の名前や連絡先、社外秘の数字、契約の中身など |
| 使う仕事 | 2で選んだ仕事。それ以外は、決める人に聞いてから |
| 確かめる人 | AIが作った物を、出す前に誰が見るか |
| 困った時 | 出てきた物がおかしい時に、誰に相談するか |
決まりが無いと、使う人は「これを入れてよいのか」が分からず、使わなくなるか、入れてはいけない物を入れてしまいます。
4. もう1人に渡す
1つの仕事で使えると分かったら、もう1人に渡します。渡す時は、口で教えるより、「何を入れて、何を頼んで、何を確かめるか」を手順として書いて渡します。
ヒルウラでも、自社の決まり(字幕を出す時間、切る所など)を手順として書き出したことで、AIが作る初稿のばらつきが減りました。ヒルウラでは、同じ直しを2回したら、その直しを手順に書き足すと決めています。手順が残ると、使う人が増えても、やり方がばらつきにくくなります。
最初の仕事は、何を選べばいい?
少人数の会社で最初に選びやすいのは、次のような仕事です。どれも、毎回同じ形で作り、できた物を人が見て確かめられる仕事です。
| 仕事の例 | AIに任せる所 | 人が見る所 |
|---|---|---|
| 打ち合わせのメモ | 録音や走り書きから、決まったことと次にやることを整理する(お客様の名前などが入る時は、3の決まりに合わせる) | 決まったこと・数字・名前が合っているか |
| メールの下書き | よく送る形のメールの下書き | 相手に合った言い方か、約束していないことを書いていないか |
| 社内の手順書 | 口で伝えていた手順を、文章の下書きにする | 手順の抜け、実際とのずれ |
| 定期の報告 | 毎週同じ形の報告の下書き | 数字が合っているか |
逆に、最初に選ばない方がよいのは、間違えると取り返しがつかない仕事や、出来を確かめる人がいない仕事です。お客様へ直接届く物や、お金・契約に関わる物は、使い慣れてから考えます。
ヒルウラのように、自社の仕事の中で時間がかかっている所が決まっているなら、そこに合わせた道具を作る方法もあります。ヒルウラは、言葉で頼むとパソコンの中の作業や道具づくりを進めてくれるAIの道具、Claude Codeを使って、初稿づくりの道具を作りました。道具を作るのは、使える仕事が見つかった後の話です。その流れはClaude Codeとは?エンジニアでなくても使える?に書いています。
少人数の会社で、つまずきやすいのは?
少人数の会社でAIの導入が止まりやすいのは、次のような時です。
| つまずき | 起きること | 直し方 |
|---|---|---|
| 道具を先に選ぶ | 高い道具を入れたのに、何に使うかが決まっていない | 先に仕事を1つ決め、その仕事に合う道具を選ぶ |
| 全員に一度に配る | 使い方が人ごとにばらつき、結局使われなくなる | 1人で試してから、手順を書いて1人ずつ渡す |
| 決まりが無い | 何を入れてよいか分からず、使う人が迷う | 入れない情報と確かめる人を、紙1枚に書く |
| 出てきた物をそのまま使う | 間違いに気づかず、外に出てしまう | 出す前に人が見る所を、仕事ごとに決める |
| 試す時間が無い | ほかの仕事に追われて、試すのが後回しになる | 試す仕事を1つに絞り、週に1回など、試す時間を予定に入れておく |
ヒルウラでも、最初はAIのチャットのアプリにそのまま頼むだけでした。「それらしい物」は出ても、自社の決まりどおりにはならず、使い続けられませんでした。自社の決まりを手順に書いてから、ようやく使える形に近づきました。
よくある質問
エンジニアがいない会社でも、AIを入れられますか?
入れられます。メールの下書きや打ち合わせのメモの整理なら、ふだんの言葉でAIに頼めます。決める人が自分で試し、使える仕事を1つ見つけてから広げると、エンジニアがいなくても進められます。
最初に、どのAIの道具を選べばいいですか?
道具より先に、任せる仕事を1つ決めます。仕事が決まれば、その仕事に合う道具を選べます。道具ごとの値段や、入れた情報の扱いは変わることがあるので、使う前にそれぞれの公式の説明で確かめます。
社員がAIを使ってくれない時は、どうすればいいですか?
使い方が分からないか、何を入れてよいか分からないことが多いです。使う仕事と手順、入れない情報を紙1枚にして渡すと、使い始めやすくなります。決める人が自分で使っている所を見せるのも効きます。
AIを入れれば、人を減らせますか?
ヒルウラでは、まだ分かりません。社内で試した範囲では、人の仕事は無くならず、中身が変わりました。手で作る時間が減り、出てきた物を見て直す所と、決まりを書き足す所に、人の時間を使うようになりました。
相談するには
AIを業務に入れたい、社内で動画を回せる体制を作りたい、といったご相談は、フォームからお送りください。
ヒルウラが自社の初稿づくりのために作っている道具「AI動画編集くん」は、いま社内で試しながら改善を進めている所で、お客様の仕事にはまだ使っていません。正式リリースの案内は、公式LINEで先行してお送りします。